続・虹の向こう側

書いて、走って、旅をする。日日是魔法日和

クリスタル・スカルを探し出せ(1)

探し物はここにある。遥か遠い記憶の中に。

 

前日のフライトで関西からやって来たN子さんとY美さんをサンフランシスコのホテルでピックアップしてシャスタまで5時間のドライブが始まった。仲良しで気の合う女友達と、パワースポットと呼ばれる今話題の場所を訪れる。不思議大好きの好奇心が二人を高揚感でいっぱいに包んでいた。「昨日のフライトはどうでしたか?」と聞くと、「実は、飛行機の中で気を失ってしまって、降りる時は車椅子だったんです」とY美さん。旅行前に忙しかったので、疲れが出たとのことだった。「でも、今は元気になったので、大丈夫です!」と明るい笑顔を見せてくれたので、ほっとしながらシャスタへと向かった。車椅子で来た彼女に、まさかシャスタで想像を絶する奇想天外な体験が待っているとは、その時、誰も思いも寄らず、天のみぞ知る。たった3泊4日の旅で起こった不思議な不思議な物語り。

 

私がご案内するシャスタガイドは通常3日4日、初めてシャスタを訪れる人達にとって、この日程がスピード感あるベストのシャスタ体験だと感じて来た。この短い日数で最高のシャスタを体験してもらいたい、初日からガイドのテンションは上がるのだ。N子さんY美さんと車中で不思議話で盛り上がりながらたくさん笑った。シャスタに到着し、まずは近場の小さな滝や美味しい湧き水の源泉等をご案内した。そしていつもお世話になっている築90年のちょっと古いけど、おとぎ話に出て来るような可愛らしいB&Bにチェックイン。同室のN子さんY美さん、そして私は別の一人部屋で夏のシャスタのきらめきを体感しながら眠りについた。

 

ガイド2日目、朝から体調もすっかり回復したY美さんとN子さんとたっぷりの朝食をとって、午前中に大きな虹が掛かるダイナミックな滝へと向かって出発した。道中、N子さんの不思議話が続く。N子さんは過去生の記憶があるチャネラーさんで、自分の過去生は江戸時代の武将の家に生まれた体の弱い当主だと言う。体が弱く、当主としての役目を果たせないので、お家から抹殺された非業の人生だったのだそうだ。今の住まいはその時代の自分の城が見渡せる高層マンションで、ご主人はその時の家老だったとのことだった。そういう奇想天外なお話は今までたくさん本で読んで来た。さすがに目の前にいる若い極めて普通に見える女性がそういう話をするのには驚いた。でも、それが真実か妄想か、誰にもわからない。それならば、その言葉の魔法を魔法のままに受け入れよう。シャスタという不思議な山をガイドするようになってから私に備わった傍観者としての能力かもしれない。どんな状況も傍観者として見ると、信じる信じないという判断から離れてガイドを続けられる。その美しい聖なる光の山を案内する、それだけが私の情熱なのだ。

 

滝に到着して、滝壺まで降りて行く中、N子さんが突然走り出す。その後ろ姿は何かに押されているようだった。N子さんは「ああ、龍が、龍が!」と言いながら走って行く。後から聞くと、滝壺が見えた瞬間に龍が喜び勇んでN子さんを急かしたのだと言う。滝に龍神あり。龍のエネルギーを背負っている人はそこに大きく反応するのだな、何だか微笑ましくその姿を追っていた。

 

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その後、ご案内したとびきりスペシャルな場所でのエピソードがますます魔法チックになって来るのだった。シャスタは富士山と同じ休火山で、山の中腹はほとんど木もなく岩山が連なっている。その中腹に源泉が湧き、水の流れがせせらぎと共にきらめき、夏の短い間に、小さな野草が咲き誇る天国のような草原がある。シャスタの中でも一番神聖な場所として守られている神様のお庭だ。パンサーメドウズ(豹の草原)と呼ばれるこの場所は、その昔、セント・ジャーメインというアセンデッド・マスター(過去に人間だったことのあるスピリチュアルな指導者)が豹に姿を変えて現れ、ある男性を悟したという伝説の場所だ。

 

3人でその光の草原に座ってそれぞれの静かな時間を過ごす。すると、N子さんが突然、「みさおさん、クルスタルのスカルはどこにあるの?」と聞いて来た。「えっ、クリスタルの、、、?なに?」N子さんは続ける。「シャスタに来る前に瞑想して、私はどうしてシャスタに行くのですか?と瞑想の中で聞いてみたの。そうしたらセント・ジャーメインが出て来て、『お前はそこへクリスタル・スカルを見つけに行くのだ』と言ったの。それで、それは何処にあるんですか?と訊いたら、それは高原さんが知っている、と言われたの。」私は仰天して言った。「いやぁ、私、チャネラーでも無いし、何処にあるのかわからないけど。きっとこの旅が終わる頃にはわかるかもしれないわ」と何の保証も思い当たることも無いままに答えた。まるで、セント・ジャーメインが私に向かって目配せしながら挑戦状を叩きつけて来たような気分だった。

 

そんな荒唐無稽な挑戦状もらっても、ねぇ。高原(こうげん)に佇むガイド操の頭の中はもうこんがらがった糸で思考回路が遮断されている。なるがままに、ケセラセラ、と思うしかない、こんな時は。

 

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夜は満天の星空を観に行った。真っ暗な星空スポットで車を停めて、道に寝転びながら3人で星空を眺めた。N子さんもY美さんもシャスタの美しさをとても堪能して、星が光っただけで喜び、3人でたくさん笑った。私達の笑い声の中、いくつもの流れ星が頭上を流れていった。

 

上機嫌でホテルに戻り、それぞれの部屋へ「おやすみなさい、また明日!」と言って別れる。シャスタ2泊目、美しい星空の夜。部屋に戻ってシャワーを浴びて、一日ガイドで疲れた体をベッドに滑り込ませる。ああ、思考は止まり、この安らぎの暗闇の中へまっしぐら。

 

しかし、その数時間後にそれは始まった。