続・虹の向こう側

書いて、走って、旅をする。日日是魔法日和

クリスタル・スカルを探し出せ(4)

「アトランティスの時のクリスタルのカケラが眼に刺さっているみたい」、電話の向こうでH美ちゃんが夢からふと覚めたような柔らかい声で言った。「N子さんはアトランティスが崩壊するときに、そのクリスタルの番人をしていて、その時の衝撃で粉砕したクリスタルのカケラが眼に刺さった。その時、N子さんは自分がクリスタルを守れなかったこと、アトランティスを崩壊させてしまったことを自分のせいだと思い詰めた。その時の過去生の記憶が今、蘇っているみたい」。H美ちゃんが「クリスタル、、、」と言った瞬間に私の頭の中の電球がピカッと光った。あっ、欠けていたパズルが揃った、とっさにそう思った。2日前にパンサーメドウズでN子さんが話してくれたクリスタル・スカルだ。それはここにあった。N子さんの深い深い記憶の底に。N子さんの過去生の記憶は戦国時代の不遇なか弱い当主のように、何かを守れなかった自分の弱さを象徴している。シャスタに来て、そのか弱い自分の無力さという自分で作った呪縛から抜け出す時が来たのかもしれない。守れなかったことをただ自分のせいだと自分を追い詰め、その焦燥感に痛めつけられて来たいくつもの過去生を、もう手放して、自分自身を愛し癒し再生する、それがN子さんが今回シャスタに来ることを決めた、魂の選択だったのかもしれない。

 

「なんでシャスタなのかなぁ、Y美さんが行こうって誘ってくれたから来たんだけれど」とN子さんは言っていた。瞑想して出て来たクリスタル・スカルもさっぱり謎で分からなかった。戦国時代の過去生があまりにも今の生にリアルに反映していて、自分の内なるパワーを封印して来たのだった。

 

ベッドでぐったりと横たわるN子さんにH美ちゃんからのメッセージを伝える。「アトランティスのクリスタルの破片がね、、、」そう言ったところで、N子さんは咄嗟に「あっ、わかった、、、。」と一言言い放った。その瞬間N子さんの体が光を発したみたいにエネルギーがシフトするのがわかった。「私、もう大丈夫だと思う。」力が戻った声でN子さんは宣言した。

 

さぁ、それから、どうやってこの病院を抜け出すか、私の頭はフル回転で策を探す。今、起こったことを正直に言えば、頭がおかしい3人の日本人女性が精神科に回されるやも知れず。石を投げればチャネラーに当たるようなシャスタならば、それは無いかも知れないけれど、ともかく、もうこれ以上揉めずに速やかに病院を出たかった。結局、ナースには「彼女はともかく頑固で、大病院には絶対行きたく無いと言っている。私が何度説得しても聞いてくれません。痛みも今は消えたので、明日のフライトで日本に帰ってから検査してもらうと言っているので、今日はこのまま帰らせてください。」この一点張りでナースを説得した。

 

さすがに患者当人の強い意思には逆らえず、ナースは渋々と退院の手続きをしてくれた。「とりあえず、この中にカルテと紹介状が入っているので、すぐに検査を受けてね」と大きな茶色の封筒を手渡してくれた。

 

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そして、ついにN子さんとY美さんと私は病院を抜け出すことに成功した。病院を出る時、N子さんの為に車椅子が用意され、その車椅子をY美さんが押している。つい数日前、サンフランシスコ空港に到着した時に車椅子に乗って来たのはY美さんだったんじゃないか?それはちょっとコミカルな風景でもあり、三人で顔を見合わせて思わず笑った。一体どんな因縁で二人が一緒に旅をすることになったのか、それはまた別の過去生でのお話だとしておこう。

 

まだふらついているものの、気力を取り戻しつつあるN子さんを連れて向かったのは、H美ちゃんのB&Bだった。電話で「今日泊まれる?」と聞くと、偶然キャンセルが出て、今日一泊だけ部屋が空いたという。God bless us! 神様ありがとう!シャスタの山が一望できるプライベートの自宅を解放しているH美ちゃんの場所でゆっくり休むのが今のN子さんにはベストだろうと思った。病院から車ですぐのH美ちゃんのB&Bに到着して、N子さんは音も立てずに数時間熟睡した。昨日の夜からの緊張もすっかり溶けたようだった。

 

翌日、すっかり元気になったN子さんと、シャスタの観光が思いもかけないハプニングで短くなってしまったことに不満を表すこともない心優しいY美さんと共にサンフランシスコへと帰った。道中、「ああ、これは伝説のシャスタツアーだったわ。日本に行ったらみんなに話して回るわ」と私が言うと、N子さんもY美さんも面白そうに、「あっ、その時はゲスト出演するから呼んでね!」と笑いながら返してくる。二人の笑顔を見て、3泊4日の大冒険で、真っ暗なトンネルから光の世界に戻って来れた安堵感が私を大きく包んでくれた。

 

N子さんのクリスタル・スカルを探すシャスタの旅はこうして終わった。クリスタル・スカル=骸骨の形をした水晶、それは遠い記憶の中、自分の過去生の傷を癒す象徴だった。

 

あれから十数年も経って、今やっとお話に出来たよ。ゲスト出演してもらえなくて残念だけれど、N子さんもY美さんもあれから元気に暮らしていますか?癒しても癒しても尽きない過去生の傷がまた出て来たら、あの時のシャスタの旅を思い出してください。どんなに深くても、その傷はきっと癒される。自分が自分を愛する限り、自分の魂がちゃんと答えを見つけてくれる。クリスタル・スカルは愛を伝える光のデバイス、それはN子さんの魂に抱かれて、いつもそこにあったんだね。その光をずっと守り続けてくれてありがとう。

 

あの時、N子さんが伝えてくれた愛は今も私を優しく包んでくれているよ。