続・虹の向こう側

書いて、走って、旅をする。日日是魔法日和

人生は主演監督兼任の自主映画である

朝起きたら外はうっすら雪化粧。青森もきっと寒いだろうなぁ。イスキアの鐘の音は今も透き通って岩木山の麓に鳴り響いているだろうか。

 

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初女さんの続き。

 

素敵な人に出会う度に思うことがある。人生は主演監督兼任の自主制作映画なのだと。以前、初女さんに、今の活動をしていなかったら何になりたかったですか?と聞いたことがある。初女さんはさほど迷った様子もなく、「女優」とおっしゃった。おお!と周りにいた人にざわめきが起こった。青森で小学校の先生だった初女さんが弱かった自分の体を自分の命を繋ぐ為に始めた食の活動。地味にコツコツとひたすら食材に向き合い、見も知らぬ誰かを思い、続けた活動。根本にはクリスチャンの奉仕の精神を貫かれたのだろう。病弱だった若い頃に教会の鐘の音を聴いて心癒され、家族の中でただ一人クリスチャンになったという。ちなみに初女さんの旧姓は「神(じん)」、進む道を生まれる前から選んでおられるがごとく神がかっている。

 

そんな初女さんの夢が「女優」だったということに少なからず衝撃を受けた。暖かで素朴な東北弁と穏やかな日常に寄り添うような初女さんの佇まいから女優という夢はかけ離れているように思えた。でもふと合点がいくのは、何百人という聴衆を前にすると、初女さんは輝きを増すのだ。薄紫に染め上げた上品で美しい白髪からまるで女神降臨のようなオーラがさす。あぁ、初女さんのエネルギーは自分を活かすことによって多くの人を魅了し、その多くの人達の感動のエネルギーを初女さんは自分の中に還元しているのかもしれない、そう思った。

 

「ガイアシンフォニー第二番」でカメラを向けられた初女さんは佐藤初女を存分に演じ上げた。そして実生活でも見事に自分の人生を監督した名女優だった。

 

謙虚にして隠者にして時に大きな表舞台で、主役を誰にも渡さず演じ切る。自分の人生の主役は自分自身だということを初女さんは教えてくれた。人の為に生涯を尽くす、それはきっと誰の為でもなく、内なる神を全力で生きる自分自身の為。

 

私もりんと前を向いて、そう生きれる自分になりたい。