続・虹の向こう側

書いて、走って、旅をする。日日是魔法日和

黄昏時の虹に出会えたら

あれはとびきり神様に近い虹だった。

 

10年前にニューメキシコを旅した時、ナンベプエブロというネイティブアメリカンの村を訪れた。アメリカはとても大きくてとても古くて大地と共に人は生きていた。ネイティブアメリカンの母なる大地への自然信仰と日本人の山や岩や滝を神として崇める信仰にはとても共通な祈りの力を感じるし、彼らの風貌はアジアの私たちとよく似ていて親しみを感じる。村の知事さんにお目にかかることが出来て、お茶を頂きながら、まるで田舎に住む父方の親戚のおじさんの家に遊びに来ているような懐かしい感覚に陥った。きっとアメリカのたくさんの場所で、今もネイティブアメリカンの人たちは大地を守りながら祈りと共に暮らしているのだろう。その生活の場を束の間でも訪れることが出来た素晴らしい体験だった。様々な大地の風景と人種と祈りの混じり合うアメリカは、やっぱり魔法がいっぱいのドリームランドだ。

 

夕暮れ近くになり、そろそろお暇しようと席を立ちかけると、一斉に辺りが黄金に染まりはじめて、ついには東の空に大きな虹が出た。もう体が勝手に虹に向かって走り出していた。大地と天の祈りと喜びに溢れた、ああ、なんという祝福だろうか!まるで時空の扉が全開して、虹の向こう側まで行けそうな気がした。

 

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そしてその虹の扉をめがけて走り出した。

 

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きっとこれも神様と約束した旅だったんだ。ほどなくして消えてしまった虹を、私は魂の記憶にしっかりと刻み込んだ。

 

時が来て、またいつか、黄昏時の虹に出会えたら、私はきっとまたひとつ神様との約束を思い出すだろう。