続・虹の向こう側

書いて、走って、旅をする。日日是魔法日和

黄昏時の虹に出会えたら パート2

ナンベプエブロの虹から5年後、再び黄昏時の虹が現れたのは夕暮れのシャスタだった。

 

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その日のガイドを終えてお客様達とダウンタウンのレストランで、特別な会食をしていた。ツアーに参加中の著述家のM子さんは、こよなく愛する故郷、出雲のガイドブックを出版し、ツアーを組みたいと考えていた。しかし、思いはあるものの、一体どうやって人を集めてツアーを組んだらいいのかわからずにいたと言う。その前年にシャスタガイドで知り合ったお客様に出雲を案内して頂いた際、出雲ののんびりと穏やかな優しい女神エネルギーに癒されて、またぜひ再訪したいと思っていた私は、それじゃあツアーをやりましょう、とM子さんに言った。「ああ、私がシャスタに来たのはこのためだったのね!私が探していたのは操さんだったのね!」と、M子さんは目を輝かせながら喜んでくれた。それじゃあさっそく、ご飯を食べながら作戦会議だ!と出雲の神様を巡る旅の相談をしている最中だった。

 

窓から背を向けて座っていたにも関わらず、その気配を私は全身で感じた。外がオレンジ色に変わり始め、私は食事もそこそこに、そわそわと窓の向こうに目を向けた。「ごめん、ちょっと外見てくる」と言って席を立って外に出た。

 

シャスタ山を背に東の空に大きなダブルレインボーだった。まるでジャンプしたらすぐに手の届きそうな近さだった。シャスタで虹に遭遇することは珍しく、ましてやこの場所でこんなに大きな虹を見るなんて、まるで夢を見ているような感動に包まれた。

 

夢にも思っていなかった出雲ツアーの企画がシャスタで持ち上がり、その作戦会議をしているまさにその最中に現れた黄昏時の虹。それは神様との約束を思い出す魔法の時間。

 

その翌年に実現した奥出雲女神ツアーは、とても深く魂に刻まれる旅となった。ツアー直前に病気が再発したM子さんは無念にもツアーに来れず、その数ヶ月後に光に還った。M子さんの魂に捧げるため、私はその一年後にもう一度出雲へのツアーをやった。

 

虹を架け橋に、あちらの世界とこちらの世界はきっと繋がっているのだ。私はいつだって、虹の向こう側へと旅だった人たちと一緒にこの世界を旅している。

 

M子さんが微笑みながら、「操さん、まだまだ一緒に旅しましょう」と言っている。