続・虹の向こう側

書いて、走って、旅をする。日日是魔法日和

ご縁の魔法

もう、なんでもかんでも魔法と言えばいいっていうものでもないだろうけれど、これが魔法でなくて何と言おう、という不思議なご縁の人がいる。

 

誰でも人生には自分の転機となる時期に現れるキーパーソンがいると思うけど、その人達の多くは時が過ぎて行く中で、あの人は今?と、遠い記憶の中に消えて行く。一期一会のご縁にありがとう、またいつかの世で逢いましょう。

 

そんな中でも、この方とのご縁は、出会っては消え、また出会う。まるでメビウスの輪のように(笑)。

 

日本からアメリカにやって来る時に一冊の本を持って来た。一ヶ月くらいは家探しの為にホテル住まいになるので、暇な時間にでも読もうとその本を選んだ。当時はまだスピリチュアル本をあれこれと読んでいた時期だったので、選んだタイトルは「アガスティアの葉の秘密」というちょっと怪しげな本だった。いわゆる曝露本で、インドの予言の葉っぱアガスティアはインチキである、というような内容だった。ちょっと衝撃的な内容なんだけれど、読み物として面白かったと記憶している。パンタ笛吹さんと真弓香さんのお二人の共著だった。初めて目にするお名前で、全く面識の無い人たちだった。その後、お二人との個人的な出会いが待っていた。

 

真弓香さんはサンフランシスコベイエリア在住の占星術で活躍されている方だったので、一度チャートを作ってもらったことがある。生年月日からその人のパワースポットを地球地図上に表すアストロカートグラフィーというユニークな占星術だった。私は詳しくは見てもらったことは無いけれど、真弓香さんの占星術リーディングは恐るべき詳細にその人の運命を読むという評判だった。

 

そしてもうお一人、パンタ笛吹さん。パンタさんの存在が私の不思議人生の扉を開けたと言っても過言では無い。

 

パンタさんに直接お会いすることになるのは、それから5年後の2000年の春だった。

 

当時、アメリカに来て5年が立ち、人生いろいろと思い悩んでいた。特に日本に住む母がALSという不治の病に侵されて入院している時期で、日本の家族を思うととても切なかった。一体私は何のために生きているのだろう、なぜここにいるのだろう、なぜあの家族を選んだんだろう、自分が何者かわからなかった。人生の深い迷走時代だった。

 

いろんなスピリチュアル本を読み漁って、そこには答えが無いことを十分に学んだ。もう本を読むのはやめよう、私はその答えを探しに外の世界に目を向けた。本の中では無く、実際に自分の体で世界に飛び込んでスピリチュアルを経験したかった。

 

そして見つけたのが「ボールダーエンジェルツアー」だった。ボールダーに住む守護天使をリーディングするリーさんというチャネラーさんに会いに行くツアーで、それを主催していたのが、パンタ笛吹さんだった。ああ、この人の本を読んだことがある、という親近感もあって、日本から組まれたツアーにアメリカから現地参加した。

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そして実際にコロラド州ボールダーでパンタ笛吹さんにお会いした。

 

軽そうな人だなぁ、それが第一印象だった。パンタさんは若い頃ヒッピーでインドや色々なところを放浪して、アメリカにやって来てサンフランシスコのヒッピー仲間と過ごした後、ボールダーに移住してお寿司屋さんを開く。当時まだアメリカにカラオケがなかった頃、ロックンロール寿司シェフという派手なパフォーマンスとカラオケ導入で大当たりした。その後40歳で早々と引退して、日本のスピリチュアル業界で本を出したり講演会をしたり、ハリウッド映画にファンキーな日本人寿司シェフ役で登場する等、とっても派手な経歴の持ち主だ。

 

大自然が美しいロッキー山脈の麓のボールダーはとてもおしゃれな街でツアーも楽しかった。そして、このツアーで得たものは計り知れないくらい大きく、その後の私の人生を大きく変えた。リーさんの天使のリーディングも素晴らしく、私の守護天使からのメッセージに心が震えて涙が出た。小さい頃からずっと見守ってくれていた見えない存在がとても身近に感じられた。そしてもう一つ、私の人生を魔法に変えるきっかけとなった素晴らしいギフトが私を待っていたのだ。

 

ツアー最終日のディナーの席で私の横に座った人が、「次はシャスタという所に行くんです」と私に言った。その時初めて聞く名前で、私は突然そのシャスタと言う音の響きに心を奪われて、「あっ、私もそこへいく!」と高らかに手を上げて宣言していた。シャスタが何処にあるのか、山だということさえも知らなかったのに。守護天使達がこぞって拍手をしているような心ときめく不思議な瞬間だった。

 

こうして、パンタさんの作ってくれたご縁で私はシャスタを知り、その山の虜になったのだった。

 

パンタさんとはツアーでお世話になってから、一度シャスタでお目に掛かったきり、その後ご無沙汰したまま、10年が過ぎた。私はサンフランシスコからボストンに引っ越した頃、ふとボールダーがとても懐かしくなり、もう一度行ってみたくなった。パンタさんはスピリチュアル業界から足を洗ったかのごとく、すっかりお名前も聞かなくなっていた。どうしていらっしゃるのか、久々にボールダーに遊びに行くことになった時、共通の友人がパンタさんに連絡を取ってくれて会えることになった。

 

時が経ってもやっぱりパンタさんは軽やかなエネルギーで私の前に登場した。今ではスピリチュアル系からは遠のいて、なんと、各地のマラソンレース参戦で世界中を旅している走る遊び人になっていた。

 

町中にトレイルが張り巡らされていて、ランナーにとって天国のようなボールダーは、オリンピック級のアスリート達がたくさん住んでいる。そして、高地トレーニングの為に世界中からアスリートが練習にやってくる。走るようになったパンタさんとの再会以来、以前は違う世界に住む人だなぁと感じていたのが、ずっと近くて楽しい親戚のお兄さんみたいな親近感に変わった。今、こうして自分でも走り始めたのはボールダーが大好きになり、パンタさんを初め、走ることに夢中な人たちが私の周りにたくさんいるからかもしれない。

 

再会してから2度程ボールダーツアーをした際にも、いつもパンタさんに特別ゲストとしてツアーを盛り上げてもらった。

 

この4月にはパリマラソンでお会い出来そうで楽しみなのだ。私は走らず、応援だけだけれど。パリでお誕生日の近いパンタさんと私とパートナーの3人で合同お誕生日会が出来たらうれしい。

 

まさか、ね。パンタさんの本を持ってアメリカにやって来て、ツアーに参加して、シャスタを知って、自分でもボールダーツアーを開催するようになって、今では走り友達になるなんて、お釈迦様でもご存知あるまい、な展開だわ。それとも全て天の計らいか?

 

さあ、これをご縁の魔法と呼ばず何と呼ぶ!

  

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