続・虹の向こう側

書いて、走って、旅をする。日日是魔法日和

アイリス一輪

私には空から降って来たとしか思えない人生の宝物がいくつかある。それは何かをがむしゃらに追いかけている時に突然やって来る天からの授けもののようだ。

 

大型シャスタツアーを終えて、シャスタガイドを頻繁にするようになった2003年、ある友人からアドバイスをもらった。「みさおちゃん、会社を作りなさいよ。シャスタガイドをこれからもずっと続けていく土台が必要よ。会社作ったら(ガイドを)やめられないでしょ?個人名義でやるよりも会社にした方がいいわよ」、「えっ、会社?!いやぁ、そんな大それたことは、、、会社設立なんてお金ないし」とまさかのアドバイスに驚きながら、そんなの無理無理パワー全開で否定した。「あら、それじゃあ、いくらなら出せるの?」と友人がことも無げに言う。具体的な数字を言えと言われてとっさに「えっ、〇〇〇ドル?、、、」と口をついて出た。そんな安い金額で会社設立なんてよもや無理だろう。友人は「それじゃあ、知り合いの弁護士さんにその金額でやってくれるように言ってみるわ」とまたことも無げに言う。

 

結局、その弁護士さんはあっさりとその金額で会社設立を引き受けてくれることになった。なんでこうなるのか、自分でもわけがわからず、シャスタに動かされていると言う思いだけで、会社設立となった。

 

そしてその手続きを踏む上で必要になったのが会社名。さて、全く空から降って来た思いもよらない話に、会社名なんて浮かんで来る余地も無かった。書類を出す為にこの日までという期限がつき、私は焦った。空から降って来た話なんだから、責任は天にあるとばかりに、ああ、神様、名前がふと天から降りて来ますように、と責任転嫁してみた。それでもやっぱり浮かばない。もうこうなったら、と私は英語の辞書を斜め読みして、その中から名前を探そうと思い立った。そして、ふと目についたのが『Iris』と言う花の名前だった。「アイリス、可愛い響き。よし、これで行こう!」と決めた。

 

かくして、『Iris International Communications』という大層大げさな会社名が生まれた。まぁ、こうなったらやるしかない、社員は私ひとりの一輪の小さな花のような会社がサンフランシスコベイエリアで蕾を開いた。

 

名前を決めて、ふと、アイリスの花言葉はなんだろう、と気になって調べてみた。

 

『虹の女神』、女神の中で唯一羽を持つというギリシャの女神イリス。神様のメッセージを人々に届ける役目を持つメッセンジャー。

 

もう、出来過ぎのお話だわ、天から降って来たアイリス一輪。その後「虹の女神企画」を2010年までの7年間、虹の多発地帯サンフランシスコベイエリアで運営することになる。

 

7年、ああ、あれは神様との約束、七色の虹を掛ける年月だったんだね。

 

天から落っこちて来たアイリス一輪、天に向かって咲き誇れ。

 

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