天に吠える
3年前にパリからモン・サン・ミシェルに行った時のこと。
天使画家の友人とパリ・マレ地区のアパルトマンに一週間ほど滞在した。ド・ゴール空港で待ち合わせて、スーツケースが出て来るのを待つも出て来ない。友人が手配した日本人ガイドの男性に聞いてみたら「そんなのはウェブサイトでやれば後で届けてくれますよ」と妙に冷たい対応だった。パリの日本人は冷たい、というレッテルが私の中に貼られた。友人がアパルトマンまで車で送ってもらうために手配したガイドさんなので、カチンと来たがむっと我慢して「ああ、そうですか。でも気になるので自分で聞いて来ます」と言った。友人には先に行ってもらい、私は後から電車を乗り継いでパリ市内のアパルトマンまで行くことにした。愛の無いサービスよりも自分でなんとかするサバイバルを選んだ。スーツケースはどうやら経由地のダブリンに置いてけぼりになったようで、翌日アパルトマンに届けてもらうことになった。
フランスは自分のことは自分でなんとかしなければダメエナジー満載で、その後も移動のハプニングが続く。
友人が地下鉄の切符の通し方が分からずに通さないまま乗ったら乗車中にメトロのポリスに呼び止められて高い罰金を払わされるハメに。切符を持っていても改札機に入れて印字されていないと証拠にならないらしい。女性でも外国人旅行者でも天使画家でも容赦無い。フランス在住の友人が同行していなかったら連行されかねない剣幕だった。
その後、一泊でモン・サン・ミシェルへ行こうということになり、行きは観光バス帰りは電車を手配。
この電車がまたハラハラドキドキの大冒険だった。駅には改札が無くプラットホームには列車が待っていた。切符は手配してもらった旅行会社で発行してくれていたので、急いで乗車。これがハラハラドキドキの始まりだとは二人ともまだ知るよしも無く。
走り始めて列車内を車掌さんが往来している。なんか虫の知らせというか、地下鉄での体験もあって、フランスの列車に乗るときの注意みたいな項目をネットで調べてみた。するとなんと列車に乗る前にもチケットを駅に設置してある機械に通して印字しなければいけないとのこと。その印字がないと違法な乗車と見なされバカ高い罰金を払わされるとのこと。日本人観光客で大金を払わされたという体験話がネットに載っていた。ここで二人共ハラハラドキドキ、車掌さんが来ないように天にお願いした。私の場合、お願いと言うよりも、天に吠えるがごとくあるチャレンジをした。モン・サン・ミシェルは大天使ミカエルの総本山、大天使ミカエルは私がこよなく愛しいつも強力なサポートを感じている大天使界一のお助け天使、唯一剣を持つ闘う天使なのだ。
モン・サン・ミシェルでは長い間修復に出されて不在だった大天使ミカエル像がつい2週間前に戻って来て修道院のてっぺんにそびえたっていた。前日だともう宿は取れないかバカ高いとフランス在住の友人に言われたが、ネットであっさりと格安の部屋が見つかった。そのモン・サン・ミッシェル城壁内の小さなホテルの屋根裏部屋の窓からてっぺんにそびえるミカエル像が望めた時、あっ、呼ばれた!と思った。不意に思いついた小旅行はミカエルからの招待状だった。ならば、ぜひ!お願いミカエル!
「ああ、ミカエル。もしパリまで車掌さんが戻って来ず罰金を払わずに済んだら、またモンサンミッシェルに戻ってきます!今度はツアーを組んで!」
天に向かってそう宣言した。
そして見事にそのお願いは果たされ無事パリに帰還。今度は、ツアーを組んで戻ってくるとか大風呂敷を広げてしまったけれど、車掌さんが来る確率はもしかしたら少なかったのかも?とふと疑惑がわいた。あーあんな宣言しなくても良かったのかも?いつだってこの口は軽いのだ。天に向かって宣言したことはちゃんと形にするべき大切な約束なのだ。そんなに軽くてどうするのだ。焦る私。しかし後から聞くところによると、車掌さんが回って来ない確率の方がはるかに低いらしいとのことだった。
そんなわけで、天からのお助けを得た私はいつかモン・サン・ミッシェルツアーをやることになっているのだ!?
天に吠える自分の性質が、どうしてもこういう展開を呼び起こす。ミカエル=ミッシェル=ミサオ、似てないか?
今年のお誕生日辺りどうやらモン・サン・ミシェルにツアーの下見に行っている自分が見える(予言)笑。
モン・サン・ミシェル=大天使ミカエルの山
6月のモン・サン・ミシェル。お泊まりは城壁の内側にあるプチホテルがオススメ。
朝の散歩が気持ち良い。
この屋根裏部屋の窓越しに修道女のごとく膝まづき見えたものは↓
じゃじゃーん!2週間前に戻って来たばかりのピカピカ大天使ミカエルの塔!
列車の切符は必ずこんなマシンに入れて印字してから乗ってね。