続・虹の向こう側

書いて、走って、旅をする。日日是魔法日和

繕い裁つ人

ブログの更新がゆるゆると後退しております。書いて走って旅をして、という三本だての生活に実はもう一本、「縫う」という作業があったことを忘れていました。と言うのも、この縫う作業は今はほぼ一年に一度のペースでやっている今にも消えゆきそうな作業。ある日着物が着たくなって巷を探して試したけれど自分の気に入ったスタイルが見つからなかった。それならいっそのこと自分で作ればいいじゃないか、という発想で始まった着物作り。実は自分が洋裁学校出だったことをすっかり忘れて過ごしていた年月が長く、実際に作り始めたら案外簡単に出来たのでびっくりした。あの2年間の死に物狂いの作品作りが無駄でなかったことが奇跡にように感じられた日々。何しろ着物と言っても伝統的な和裁ではなく、ドレスキモノという発想自由なスタイルなので、ミシンでガーッと縫う部分も多く、頑張れば2、3日で仕上がる。一番の難関は作りたい生地を見つけること、4メートルの生地を裁断すること、これがちょっと大変。でも、それを過ぎると出来上がるまでの課程はとても楽しく、着てくれる人の個性を最大限に引き立てるコーディネートを考えながらワクワクと製作出来る。

 

今回作っているのはゴールドのシースルーというなかなかゴージャスなドレスキモノ、某天使画家さんのパリでの個展用のお衣装ということで、かなり派手目な生地を選んでみた。これが作りながらキラキラと輝くので、作り手も気分が上がる。

 

以前、飛行機の中で観た「繕い裁つ人」という映画を思い出した。着る人の個性が引き立つようなたった一着のこだわりの洋服を作る女性の話だった。凛と背中をまっすぐにミシンに向かうその人から職人としての熱い情熱とプライドが伝わってきた。私の中にもちょっとした職人美学があるのか、その姿に憧れた。父親が建具職人だったから手で作るということに何かこだわりがあるのかもしれない。

 

とりあえず、形になっていく美しさを楽しみながら、もうすぐ祝完成。

 

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