続・虹の向こう側

書いて、走って、旅をする。日日是魔法日和

パリの街角、満月の夜。

モンサンミッシェルから夜遅くバスがパリ、オペラ座に帰着。近くのスーパーに寄って買い物してホテルへの帰り道。夫がすたすたと先を歩いて行って見えなくなってしまった。海外で一人歩きは慣れているので怖くは無いけれど、なんでそんなにどんどん先に行ってしまうのか?ムカッとして不満が立ち上る。いゃ、待てよ、あの歩きはいつもと違う、なんか怒ってる?それも猛烈に?ああ、そうなのだ、なんだかマジで怒らせたみたい。滅多に無いことだけれど、キレる時は無言ですたすたと歩き去るのだ。どうやらスーパーで私が放ったいい加減でキツイ言葉にキレたらしい。

 

一人ぼつぼつと歩きながら、流石に猛省モードになった。いつも慎重に丁寧に状況を判断しながら行動する夫に対して、全ては運任せみたいな分析能力の低い私は時々イラっとする。長年の馴れ合いでわがままになっている自分の大柄な態度がこの時は彼のプライドに刺さったらしい。

 

一人でさっさとメトロに乗ってホテルに戻った夫と満月のパリを一人で肩を落としながら歩く私。こういう時は不思議に世界がシンクロする。メトロの改札でチケットを入れても通らない。パリのメトロチケットは改札時に印字されて改札を出る時に回収されずに手元に戻って来るので、一度使ったものは捨てないと使っていないチケットとごちゃ混ぜになる可能性がある。あれ?古いチケット入れちゃったのかな?と思ったけれど、確かまだ未使用だったはずのチケットだった。窓口のお兄さんに確認したところ、すでに使用されていて無効なチケットだと言う。おかしいなぁと思いながらも、新しいチケットをマシンで買おうとすると現金オンリーとの表示。現金が無かったので、再び窓口で聞くが、チケットはマシンでしか買えないとのこと。オーマイゴッド、ホテルまで歩いて帰るしか無いのか、、、。てくてくと夜道を歩く、罰当たってる?私?優しい夫に恵まれた環境、もっと謙虚に生きよ、とミカエル叱ってる?「ごめんなさい」と夫にテキストを送った。ホテルまで二駅、まぁ歩いて帰れる距離だけれど、一駅歩いたら流石に夜も遅く疲れて来た。最寄りのコンコルド広場のメトロの改札に行くと、クレジットカードで買えるマシンがあった!心を入れ替えた瞬間、ミカエルからお許し出た!

 

ああ、コンコルド広場と言えば奇しくもかのマリーアントワネットが絞首刑になった場所。人は謙虚に生きるべきと猛烈に示唆する場所でもあるのだ。言うことを聞かない司教の頭蓋骨に穴を開けて聖堂を建てさせたミカエルらしい状況設定?

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パリ、満月に思う。感謝の心無くして生きるなかれ。